[ITmedia ビジネスオンライン]地上波放送からPPVへ:2023年、格闘技ブームは終わるのか RIZIN代表に聞くマネタイズの変化 https://t.co/zGAASSy0P2
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榊原信行CEOインタビュー。一部を引用。
――15年から続いた大みそかの地上波放送が、今回初めて無くなります。その点はビジネス的にどんな影響がありますか?
21年の大みそか大会ではフジテレビで約6時間放送され、そのうちメインカードを含む5試合が生放送されました。一方でペイ・パー・ビューは10万件近く売れています。
地上波でこれだけの試合が放送されているにもかかわらず、「ストレスなく見たい」「地上波放送以外の試合も見たい」と思って購入してくれるお客さんがこれだけいることが分かりました。
この状況を受けて22年の年明けに社内で、「今年(22年)の年末は思い切って地上波放送を無くそうか」と話していました。なぜなら地上波を無くすことによってペイ・パー・ビューの購入数は増えますし、もう地上波からもらえる放映権料のアップは見込めないからです。
良いものを作るにはやはりお金がかかります。ただテレビの広告枠は数に限りがあり、媒体価値が下がっていて、とても制作費を賄えない状況になっています。
興行主のわれわれからすると選手たちにもお金をしっかり届けて、ファンへ素晴らしいものを作っていく必要がありますが、放映権料頼りだと、それが難しくなってきました。
――ただ、THE MACTHの地上波放送中止を受けての記者会見時には、そのようなトーンではありませんでしたよね。
このようなことも言いながら、PRIDEの時代から、RIZINまで一緒に作ってきたのでフジテレビさんに対して愛はあります。もちろんフジテレビさんの現場で動かれていた方々にもRIZINに対して愛があり、お互いに「最高のものを創り出そう」という気持ちの上では両思いだったんです。THE MATCH 2022をきっかけに地上波放送は無くなりましたが、フジテレビさんともいつかは復活したいと思っています。
そしてペイ・パー・ビューのみで開催する大会と、プロモーションとして地上波で放送する大会とをすみ分けたいと思っています。ただ、格闘技のシーズンピークである大みそかは、興行主として収入を増やすためにペイ・パー・ビューで放送したいと思っています。
――格闘技ブームと言われた03~04年の放映権料と、21年を比較するとどの程度下がり、格闘技ビジネスとしてのマネタイズはどう変わりましたか?
放映権料は最盛期と比較すると7分の1ほどになっています。PRIDEの頃は地上波の放映権料がベースにあって、かつスカパーでのペイ・パー・ビューがコンスタントに5万から7万件は売れていました。
RIZINは立ち上げ当初の15年、16年は減った放映権料と、ペイ・パー・ビューが売れずに非常に苦戦しました。ですが、徐々に人気が出てきたことと、ペイ・パー・ビューの視聴環境が整ってきたこともあり、収入が見込めるようになりました。
加えて登録者数100万人までもう少しなのですが、RIZINのYouTubeチャンネルからの収益も最近は大きな柱となっています。
放映権料はそんなにダウンしてたんですね。いずれにしても地上波頼みからは脱却する必要があったのでしょうが、切られることは想定外だったでしょう。
[ITmedia ビジネスオンライン]伝説の試合を実現:メイウェザーと信頼関係を築き上げた交渉術 RIZIN代表に舞台裏を聞いた https://t.co/NtMUuk1qbU
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――18年にフロイド・メイウェザー選手が那須川天心選手と日本で試合をしました。いかにして実現に漕ぎつけたのですか?
メイウェザーはそもそも17年にボクシングを引退した身でしたから、オフィシャルなボクシングの試合をすることはできません。そんなメイウェザー側から日本で試合をしたいと話をもらいました。
この「試合」とは公式なものではなく非公式な試合で、戦績には残らない、いわゆる「エキシビションマッチ」と呼ばれるものです。しかし、たとえ非公式試合であっても、メイウェザーがやるとなると莫大なファイトマネーが発生してしまいます。
そこでメイウェザーと契約する前にいろいろなスポンサーさんに声をかけて「メイウェザーを日本に呼んで試合が組めます。協力してもらえませんか?」と聞いて回ったんです。するとどの会社も「面白いからやりましょう! 協力しますよ!」と返答をいただき、メイウェザーと日本で試合をする契約を結びます。
ただ、メイウェザー自身も初めてエキシビションマッチを異国の地でやるということで、かなり警戒心が強かったように思います。
――確かにメイウェザーは非公式なエキシビションマッチであることを強調していましたね。
18年11月に天心とメイウェザー戦の記者会見を開いたのですが、世界からの反響がすごかったんです。米国のボクシング界からは批判があり、メイウェザーの周りからも「日本で試合なんて騙(だま)されるぞ。とんでもない目に遭うぞ」といった声が上がっていたようです。それがメイウェザー本人の耳にも入り、試合をキャンセルする騒動になりました。
――そこでどんな対応をして乗り切ったのですか?
私は米国に渡ることにしました。2週間ほどマネジメントと話しながら、ひとつひとつ誤解や不安を解き、最終的に彼らが納得する形で、合意を得ました。ただ最後までやっぱりわれわれを疑がっていました。
例えば米国で試合を見られたくなかったのか、直前まで交渉するも北米でのペイ・パー・ビューは中止しました。強行することでメイウェザーが試合直前に、「日本で試合するのをやめる」と言い出すリスクがありますし、当時、放送予定だったフジテレビに穴を開けるわけにはいきません。試合を発表するとプロモーターである主催者側が弱くなるのです。
――22年9月の会見でメイウェザー選手にアイティメディアとして質問した際、榊原代表のことを「榊原代表は正直で、言ったことをしっかりやる。素晴らしい人です」とおっしゃっていました。これほどの信頼関係をいかにして築いたのでしょうか?
私は興行主として長い間、あらゆる選手と交渉をしてきました。選手からYESを得たいがために、風呂敷を広げたり、話を盛ってしまったり、ごまかしたりすることは、その場はよくても後で自分の首を絞めてしまいます。
兎にも角にも言ったことをきちんとやって、できないことはできないと言うことが重要です。大枠で合意できていても各論でもめてしまうことは、特に1対1の人間同士が殴り合う格闘技では多々あります。とりあえず先に発表して、後で何とかしようとせずに、初めから最大級の条件を提示して、口約束であっても守り通していくことが大切です。
――またメイウェザー選手は「世界がコロナでシャットダウンされている中でも、彼はラスベガスに4~5回会いに来てくれて、その都度、建設的な話をして関係を保ってきました」と話していました。直接会うことも大切にしているのですか?
選手と交渉する上で、直接、顔を合わせることも大切にしています。コロナ禍でリモートが増えたと思いますが、オンラインだと伝わることは限られています。これはある方から教えてもらったのですが、「コミュニケーションとは質より量」だということです。
会ってあいさつを交わすだけでも良いのです。よってメイウェザーとも、コロナ禍の頃から半年に1回くらいは会っていました。それが結果としてメイウェザーからの評価につながったのだと思います。
この辺のことも詳細は雷神の言霊 一夜で50億円超をつくりだすRIZINプロモーターが大切にする50の極意に書かれてそうです。
強がってるようにしか
放映権料が下がっているのは事実だし、テレビ広告よりネット広告の方が需要が高まっているので、今後も下がり続けることが予想できる。
『THE MATCH』でテレビ放送がなくなったが、PPVの売り上げがよく、PPVだけでやっていけることが確認できた。
朝倉兄弟のおかげでRIZINの知名度や人気が高まり、YouTubeの登録者も増えた。
反社問題が無くても、遅かれ早かれPPVのみに移行するのは目に見えてた。