白黒テレビもめずらしかった1960年代。
プロレスが放送される日は、マンガ店と喫茶店はレスリング中継を見ようとする人でごった返した。喫茶店は先を争って「今日は金一(キム・イル、大木金太郎)のレスリング」という立看板を立てて客を引き、マンガ店ではマンガを見ている子供たちを帰し、テレビを見る客を入れたほどだった。
(中略)
当時プロレスリングはサッカー、ボクシングとは比べものにならないほど国民から愛される人気スポーツだった。また力道山の弟子である「海外派の英雄」金一と「国内派英雄」張永哲は最高のスポーツスターだった。
しかし1965年張が「レスリングはショー」と暴露(?)すると2人は互いに背を向け始める。2人の溝は深く、レスリングファンの間では「金一と張永哲はあの世でも会うことができないだろう」と言われたほどだった。
41年が過ぎた2006年2月8日午後9時30分、慶南金海(キョンナム・キムヘ)のある病院に車椅子に乗ったお年寄りが姿を現した。5坪の病室でほかの患者6人とともに眠っていたおじいさんがびっくりすると「いや、いや」の後に言葉が続かなくなってしまった。
車椅子に乗ったお年寄りは金(78)、入院中のお年寄りは張(73)だった。
パーキンソン病と中風、若干の認知症などと争っている張だったが、金を見るやいなや、どもりながらも「夢のようだ。こんなことが…」と言いながら涙を流した。金も頭突きの後遺症で巨大結腸症、高血圧、リンパ腫、心不全などの合併症で15年目ソウルのある病院で病魔と戦っている。
しかし張が91歳の母とともに金海のある病院でさびしく闘病生活をしているという知らせを聞くと「今、会わなければ二度と会うことができない」と車椅子に乗って金海まで向かったのだ。感懐にひたる2人はずっと手を握り締めたまま「私たちがこんなに病魔と戦うなんて誰が知っていただろうか」と残念そうに話した。
(中略)
◆「また会いましょう」と約束=残りの人生があまり残されてない今、2人の間に41年間のしこりは春の雪が溶けるように消えた。
金は「渋滞が解消したような感じ」と喜び、張は「私が礼儀知らずだった」と後悔した。金は「本当は『後輩の方が先に訪れず、どうして自分が先に訪れるのか』と考えた」と告白した。
大木金太郎さん、懐かしい。東京プロレス(猪木の方じゃなくて安生が社長になった方の団体)に呼ばれた時が最後の来日だったかな? 確か「力道山先生の作った日本プロレスを復活させたい」なんてどう考えても無理なことを言ってたような。
数年前に週刊ファイトが大木金太郎さんを見舞いに行ったこともありましたね。それにしてもステロイドなんかの後遺症じゃなくて頭突きによる後遺症に悩まされているとは、プロレスに命懸けてたんだなぁと。
で、41年前の事件って何よ? というわけで、中央日報が記事の最後に解説している。
◆「レスリングはショー」事件=1965年11月25日、ソウル奨忠(チャンチュン)体育館で5カ国親善プロレスリング大会が行われた。
日本の大熊元司が張永哲に「キャメルクラッチ」攻撃をした。張永哲は苦痛に耐えられずマットを手の平で叩くが、大熊は攻撃を続けた。するとリングサイドで見守った張の後輩たちが一斉にリングに乱入、大熊の頭を瓶や椅子で殴る騒動を起こした。競技は中断し、騒ぎを起こした選手は即決審理に回付された。
当時のマスコミは張が警察の取調べの過程で「プロレスはショーだ」と言ったと報道、プロレスが衰落するきっかけとなった。
( ´・∀・`)へー、大熊さんがこんな事件に関わっていたとは知らなかった。韓国版・力道山vs木村政彦と言いたいところですが、セコンドの乱入があったからちょっと違うか。
大熊元司/レスラーノート
1941年12月18日 埼玉県草加市出身
179cm 120kg
清美川の従弟。馬場の付き人第2号。ジャイアンツのファンだった。大相撲の伊勢ヶ浜部屋に入門。62年5月に日本プロレスに入門。6月5日、名古屋市金山体育館の北沢幹之戦でデビュー。デビュー当初のリングネームは大熊熊五郎。65年11月、大木が企画した大韓プロレスの5カ国対抗プロレス選手権に出場するため韓国遠征。張永哲と対戦した。
(中略)
ハワイの慰安旅行の帰国後の92年12月27日、急性腎不全で死去。酒豪としても知られていた。
大熊さんが亡くなられてもうそんなに経つのか・・・。張永哲戦については一言だけしか書いてない。
このサイトが割と詳しく考察していた。
韓国プロレス事件史 1965.11.28(韓国のプロレスとか、それ以外とか)
常軌を逸したリンチに警察が出動して張永哲のセコンドが逮捕される事態となり、弟子が刑事告訴されることを恐れた張永哲は警察の事情聴取に「大熊が取り決めをやぶって一方的に攻撃してきたので、弟子が私を助けるためにリングに入って来た」と、いわゆるブック破りであったことを洗いざらい証言してしまう。
現役エースレスラーがプロレスのデリケートな部分を暴露するという、ミスター高橋以上のメガトン級爆弾投下に一般紙が食いつく。以来失望したファンが離れていき、超人気スポーツ興行だったプロレスは徐々に斜陽の道を歩むこととなった。
大熊がブック破りをしたことに対しては色々とキナ臭い噂がのぼったが、真相は今でも闇の中である。ただそのとき以来、韓国では「プロレス=取り決めショー」という社会的レッテルが貼られ、何十年もグレーゾーンに安住できた日本のプロレス界とは違った歴史を歩み、いまの韓国プロレス界の低迷に行き着く。
結局、大熊さんは事件の真相を墓の中まで持っていったわけですな。韓国はプロレスブームが去るのは早かったんですねぇ。最近WWEがアジアツアーで訪韓したことあったから放送はされていたんでしょうけど、大きな収益を上げることは出来なかったような。しかし・・・。
韓国プロレスの衰退はいつから?(韓国のプロレスとか、それ以外とか)
昨日の日記で、65年に起きた大熊リンチ事件が韓国プロレス低迷の原因のように書いたが、考えてみるとそれ以降も大規模なプロレス興行は続いていて、写真やビデオを見る限りかなりの数の観客が入っている。
大木金太郎がソウルでWWA王座を奪取したのは大熊リンチ事件より2年後の1967年で、キムイル世界王座奪取の報には号外も出たという。さらに馬場や猪木やラッシャーが遠征したときも、会場は超満員。特に猪木がソウルで朴松男(パク・ソンナム)に勝ったときは、怒った客が控え室に押し寄せたという話もある。
(中略)
他の要因として
・プロレスファンだった朴正熙大統領が暗殺され、プロレスを応援する権力者がいなくなった
・1980年に起こった軍事クーデターの言論統制で、プロレス放映に積極的だったTBCという放送局が潰された
・大木金太郎が水産会社経営のため事実上の引退をした1980年代、プロレス興行をまったく行わなかった空白の年がある
ということが考えられるのだが、なにせ資料が少なくて真相解明は遠い先の話になりそう。
なるほど、他にも要因はあったわけね。猪木vsパク・ソンナムって猪木がリングアウトで勝った試合ですけど、パク・ソンナム側が「地元だからフォール負けは勘弁して」ということで、リングアウトに落ち着いたってピーター本に書かれていたような(苦笑)。
こちらのブロガーさん、韓国在住7年のようで、韓国のプロレス事情にも詳しい。かと言って変に韓国に染まることもなく、日本人としての気概を持ちあわせており、歴史教科書問題や竹島問題で韓国人に絡まれた場合は、
「酒場で韓国人に喧嘩を売られたらこうやり返してやる」
「地下鉄で聞こえよがしに日本の悪口言ってる奴が言ったらこう言い返してやる」
「職場で変な横断幕掲げる奴がいたら、抗議してひっぺがしてやる」
とか、あれこれシミュレーションしてニヤニヤしている。
といった感じで結構武闘派。2005年4月はNKPWAにも結構通っている。11月から更新されてないのが残念ですが・・・。できれば今回の和解の件についても書いていただきたいものです。
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会場のファンの間からも「吉江」「よっしぃ」と掛け声が掛けられるなど、正体はすでにバレバレ。しかし、不動を力強い攻撃の連発から最後は逆エビ固めで下したY2K―160kg本人は、試合後も「ワタシ、ニホンゴ、ヨクワカリマセン」とあくまで吉江とは別人であることを強調した。
ワロタwww。こちらも名古屋。リンク先には吉江・・・じゃなくてY2P-160kgの写真があります。
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